Journal #006|なぜ音楽を研究し始めたのか
- Mee

- 7月29日
- 読了時間: 3分
音楽を作りたかったわけではありません。
むしろ、ずっと知りたかったのは別のことです。
なぜ、ある音楽は人の身体を震わせ、前向きに生きる力を生み出すのか。
同じ曲を聴いても、何も感じない人がいます。
一方で、涙が出る人もいます。
勇気が湧く人もいれば、過去の記憶が蘇る人もいます。
なぜ、その違いが生まれるのでしょうか。
HYMYではこれまで、「自分を知ること」をテーマに研究を続けてきました。
Moon&Meも、その延長線上にあります。
でも最近、少しずつ考えが変わってきました。
私たちが本当に知りたいのは、「自分とは何か」ではなく、
何によって、自分の世界の見え方が変わるのか。
なのではないか、と。
例えば、同じ景色を見ても、昨日と今日では違って見えることがあります。
同じ出来事でも、励まされた翌日には「挑戦してみよう」と思えることがあります。
反対に、疲れている日は、何を見ても灰色に感じることがあります。
世界は変わっていない。
変わっているのは、自分と世界との関係です。
この変化に強く惹かれています。
音楽は、その変化をもっとも鮮やかに引き起こすものの一つです。
たった数分で、
身体が軽くなったように感じたり、
忘れていた感情を思い出したり、
「もう少し頑張ってみよう」
と思えたりする。
これは、とても不思議な現象です。
音楽は空気を震わせているだけなのに、その振動は、人の人生にまで届くことがあります。
もちろん、それは音楽そのものの力だけではありません。
同じ曲でも、
ある人には特別な一曲になり、
別の人には何も起こらない。
そこには、その人が歩んできた人生があります。
価値観があります。
身体の状態があります。
その日抱えている悩みがあります。
未来への願いがあります。
この「音楽 × 人」の間に生まれる現象を理解したいと思っています。
最近、一つの仮説を考えています。
人を動かしているのは、音楽そのものではない。
その人と音楽との間に生まれる「共鳴(Resonance)」なのではないか。
もしそうだとしたら。
研究すべき対象は、「どんな曲が良いか」ではありません。
どのような条件で、人と音楽の間に共鳴が生まれるのか。
そこにあるはずです。
この研究を進めるために、
私は音楽を聴くだけではなく、作ることも始めました。
作曲を専門的に学んできたわけではありません。
だからこそ、AIという新しい道具を使いながら、
歌詞を変え、
テンポを変え、
声を変え、
構成を変え、
「どの違いが、人の体験を変えるのか」を何度も試しています。
私たちにとってAIは、作品を大量に作るための道具ではありません。
仮説を立て、実験を繰り返すための研究環境です。
今回リリースしたアルバム『Resonance』も、その最初の実験です。
完成形ではありません。
一つの答えでもありません。
「こんな音楽を作りました。」
という作品発表というより、
「ここから研究を始めます。」
という宣言に近いものです。
そして、この研究は音楽だけにとどまらないと思っています。
これまで、
対話によって人の世界の見え方が変わる瞬間を観察してきました。
これからは、音楽でも同じことが起こるのかを観察したい。
将来的には、
映像、
文章、
香り、
空間、
自然、
人との関係。
あらゆるものが、人の世界の見え方をどのように変えていくのかを探究していきたいと考えています。
もし、あなたにも、
理由は説明できないけれど、
「この曲を聴くと、生きようと思える。」
そんな音楽があるなら
その現象は、偶然ではないのかもしれません。
私はこれから、その小さな共鳴を、一つずつ丁寧に観察していきます。
それが、HYMYが音楽を研究し始めた理由です。


