top of page

AIを知るほど、不自由になる?——「仕組み」より「影響」を知るAIリテラシー

執筆者の写真: Mee
Mee
9月7日
読了時間: 3分

AIについて詳しくなればなるほど、私たちはAIを上手に使えるようになるのでしょうか。


直感的には、仕組みを知るほど自由に使えるように思えます。


けれど、最近の研究は、それほど単純ではない可能性を示しています。



AIの「技術知識」と「倫理的認識」は同じではない


Oh・Jin・Nahによる2026年の研究では、大学生297人と一般成人284人を対象に、AIアルゴリズムに関するknowledgeとawarenessがsense of agencyやtrustとどう関連するかが検討されました。


研究では、AIについてのethical awarenessが高いほどsense of agencyとtrustも高い関連を示した一方、technical knowledgeはsense of agencyとtrustの低さと関連していました。また、ethical awarenessにはnegative agencyを緩衝する関連も報告されています。


参照:Oh, Jin & Nah (2026)


https://doi.org/10.1016/j.tele.2026.102403


この研究は相関的な設計を含み、技術知識が人間のAgencyを直接低下させると因果的に結論づけるものではありません。


しかし、「AIの仕組みを詳しく知ること」と「AIの影響を理解しながら主体的に使えること」は、同じ能力ではない可能性を示しています。



HYMYの仮説:必要なのはAgency-Aware Literacyではないか


ここからはHYMYの仮説です。


AI時代のリテラシーを、モデルの仕組み、プロンプトの書き方、性能差、アルゴリズムの知識だけで定義すると、重要な部分が抜け落ちるのではないでしょうか。


必要なのは、「このAIが自分の判断にどんな影響を与えているか」「自分の選択肢は増えているか減っているか」「なぜこの提案を受け入れようとしているのか」を理解できる力です。


HYMYではこれを暫定的に Agency-Aware Literacy と呼びます。


AIそのものを知るだけでなく、AIと関わったときに自分がどう変わるかを観察できるリテラシーです。



透明性だけでも足りない


AIがどう動いているかを透明にすることは大切です。


しかし、透明性の情報を大量に表示すればAgencyが守られるわけではありません。


ユーザーが必要なのは、技術仕様を読むことだけではなく、自分への影響を理解し、必要なら距離を取ったり、別の選択肢を選んだりできることです。


そこで設計上は、「AIがなぜこの提案をしたか」だけでなく、「この提案を受け取ったあなたはどう感じていますか」「他の選択肢も見ますか」「AIなしで一度考えますか」といった問いも重要になります。



Moon&Me / HYMYなら、どう設計できるか


Moon&Meでは、AIが記録からパターンを提示するとき、その根拠を示すだけでなく、本人がその影響を観察できる設計にできます。


「この見方を読んで、気持ちは変わりましたか」「自分の最初の解釈と比べてどうですか」「この提案を採用しないという選択肢もあります」。


AIのことを知る。


そして同時に、AIによって変化する自分のことも知る。


その二つを含めてAIリテラシーと考えることが、Human Agencyを守るうえで必要なのかもしれません。


最新記事

すべて表示
子どもは大好き。でも、一緒に遊ぶのはつらい。——親子遊びを「親 × 活動の適合」から考える

子どもと食事をする。話をする。一緒に料理をする。散歩に出る。お風呂に入る。そういう時間は好きなのに、ミニカーを何度も同じ道に走らせたり、子どもだけが知っているルールに従って遊んだりする時間になると、数分でもひどく退屈で、早く終わってほしいと思う。 これは「子どもと一緒にいるのが嫌」ということなのだろうか。Small Research #001は、この小さな違和感から始まった。 最初に分かったこと

 
 
AIで楽になるほど、「自分がつくった」は薄れる?——心理的所有感から考えるAgency

AIに手伝ってもらって、短い時間で良いものができた。 それなのに、完成したものを見て「これは自分がつくったものだ」と、どこか言い切れないことはないでしょうか。 効率が上がることと、自分が行為の主体だと感じられることは、同じではないのかもしれません。 AIの自動化は、負荷だけでなく「自分のもの」という感覚も下げる Wenting Heによる2026年の研究『Subjective task load

 
 
AIを止めるルールを、人間は一緒に守れるか——AI安全の「Human Governance Problem」

AIが危険な行動をしないようにするには、モデルを安全にすれば十分なのでしょうか。 昨日のHYMY Journal候補では、2023年から2026年9月までにAIへの警鐘がどう具体化してきたかを整理しました。今日は、その一段外側にある問題を考えます。 安全策が分かっても、全員が守るとは限りません International AI Safety Report 2026は、一般目的AIの能力が急速に向上

 
 

HYMY

人生を、消費から発見へ。

 

HYMYは、人間の世界の見え方と、
生命力を立ち上げる共鳴を探究する
Research & Design Companyです。

 

人が自分自身を観察し、
自分の経験の意味を自分でつくるための
研究とプロダクトを開発しています。

会社名

​代表電話

​所在地

設立

主要取引銀行

事業内容

HYMY株式会社

​(ヒーミー)

03-6555-3291

〒104-0061

東京都中央区銀座1-22-11

​銀座大竹レジデンス2階

2019年5月

三菱UFJ銀行、三井住友銀行

・人間の世界観、意味生成、共鳴に関する研究
・自己観察、内省支援プロダクトの企画・開発・運営
・親子の世界の見え方に関する研究・教育・記録支援
・AIと人間の関係性に関する研究・サービス設計
・法人研修、講演、ワークショップ
・音楽、文章、映像等の研究的コンテンツ制作

© 2026 HYMY

    bottom of page